ケロイドにシリコンジェルシートを使ってみた〜怪我の傷跡は薬以外にも対処方法はある〜

シカケア 形成外科
シカケア

pharmasahiroです.
今回はちょっと辛い体験を告白いたします.

生まれて初めて救急車に乗りました

プライベートなことなのですが,わたくし先月,自転車走行中に派手に転倒してしまい,救急車で運ばれてしまいました.
近隣住民のみなさま,駆けつけてくださってありがとうございました. ご迷惑をおかけました…

幸い,顔面と左腕の怪我だけで,
骨折や頭部外傷などはなく,命に別状はないのですが,

顔の傷がやや厄介でして…

単なる擦過傷ではなく,

挫滅(ざめつ:皮膚がえぐれること)してしまったんですよ…

いやぁ…痛かった(そりゃそうなのですが)

挫滅した部位は左眼の少し下のところで,救急搬送された病院の形成外科医曰く,

「あと少し挫滅したところが上の方だったら神経(どこの?)が断裂して一生眉毛がうごかせなくなってたね」

とさらっと,それはもうさらっと言われしまいました.

…恐ろしい…orz

まぁそれはさておき,えぐれてベローンと剥がれた皮膚を形成外科医がうまく縫い合わせてくださり,
今では出血も止まって(結構時間かかりました. 2週間くらいは出血が止まらず大変でしたね…),
皮膚にクレーターみたいな傷跡(瘢痕)にはならずに済んではいます.

傷はふさがったけれど跡が残ってしまう!

ところが,ここ最近挫滅した部位が赤黒く盛り上がってきてしまったんですよね.
いわゆる肥厚性瘢痕,もしくはケロイドというものです.
(両者は厳密には違います. 詳しくはこちら参照)

「せっかくの顔がぁあああ」と一人嘆いていたのですが,
形成外科医に相談すると,

「それはね, “シリコンジェルシート”というものを使うといいんだよ」

とアドバイスをいただきました.

…ん?シリコンジェルシートってなんぞ???

薬剤師として薬の使い方は他の職種よりも熟知しているという自負はあるのですが,
創傷治療に関してはもう本当に知らないことばかり(というか知っていることがほとんどない…)

シリコンジェルシートってなんぞ?

一から自分で勉強してみたのですが,
どうもこれは物理的に創部を圧着圧迫して,瘢痕が形成されるのを防ぐもののようです.

1980年代から実臨床で使われており,
現在も救命救急や形成外科領域での創傷治療だけでなく,
例えば産婦人科での帝王切開後の瘢痕治療にも用いられているようです[1].

コクランにもメタ分析の論文があります.これは一読しておいて良いでしょう[2].
(無料で全文が読めます.ありがたやー)

一応,肥厚性瘢痕やケロイドに対して,
サイズの減少や皮膚の色調改善などの効果は認められているのですが,
個々の論文のバイアスが非常に高いのが問題視されております.

とはいえ,具体的な作用機序までは現在でもよくわかっていないのも現状で,
(そんなもんです.薬もまた然り)
本邦でも作用機序などの解明に向けて調査が行われており,
いくつかの仮説は立てられているようです.

瘢痕治療におけるシリコーンジェルシートの適応と作用機序
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsswc/1/3/1_3_112/_pdf/-char/ja

作用機序がわからんものが実臨床で使われていることに懸念や不安を抱く方々もいらっしゃるとは思うのですが,
正直,医学も薬学もまだまだむしろわかっていないことの方が多いと思っておいてください.そこま悪しからず.

さて,そんなシリコンジェルシートなのですが,
困った(?)ことに院外処方せんに記載することができず,
つまり「自費で購入するしかない」と言われました.

(正確には入院などすればまるめこみで院内でもらえることがあるといえばあるらしいです)

シリコンジェルシートとは一般名のようなもので,
具体的には自分は シカケア:CICA-CARE®︎という製品を選びました.
理由は病院で用いられているものと同じという安易なものです. 本当に安易.
他にも製品はいっぱいあるのでみなさま自分にあったもの,納得ができるものをお選びください.

ただまぁ値段を見てびっくり.
一枚で(!)¥4,000…!!!

財布にはとても痛い出費ですが,綺麗に顔の傷を治したいのもまた正直なところで,
しっかり大切に使います.

ちなみに,6cm x 12cmサイズのものでこの値段.
創部の大きさに合わせてハサミで切って貼付して使います.

入浴や洗顔時に剥がして,
石鹸等で洗えてかつ使い回しが可能です.
(1ヶ月くらい?ここは明確な根拠なし)

使ってみた感想

実際自分も試して見たのですが,
洗ってしばらくすると粘着力が回復してすぐに貼り直すことができております.
不思議なものやなぁ…

受傷して3週間ほどが経過.
シリコンジェルシートを使用して1週間ほど.

さて, 本当にそこそこ綺麗に治るのかな..
(ある程度の瘢痕は残るとはムンテラを受けて納得しておりますが, やっぱり綺麗に治って欲しい…)

まぁ, これくらいの怪我で済んだことをお天道様に感謝しつつ,
愚直に治療を継続しております.

今日はここまで.
それでは▽

参考文献

[1] Westra I, Pham H, Niessen FB. Topical Silicone Sheet Application in the Treatment of Hypertrophic Scars and Keloids. J Clin Aesthet Dermatol. 2016;9(10):28-35. PMID:27847546
[2] O’brien L, Jones DJ. Silicone gel sheeting for preventing and treating hypertrophic and keloid scars. Cochrane Database Syst Rev. 2013;(9):CD003826. PMID: 24030657