薬局では病気の早期発見ではなくて,薬による有害事象を早く見つけよう

pharmasahiroです.

「病気は早期に発見した方がいい」
そんな価値観が世間を席巻(せっけん)しているようです.

病気の早期発見ブーム:糖尿病を例に

自分の身近な例として,
薬局での血糖検査.
2014年の法改正により,現在のところ全国で1500ヶ所以上の薬局で指先からの血統検査ができるようです.
HbA1cを測定できる「ゆびさきセルフ測定室」 全国に1,500ヵ所以上

今年に入って,その血糖検査を行うことが医療経済上,
費用対効果が優れているのではないかという発表もあるましたね.
検体測定室」でのHbA1cチェックは糖尿病対策として効果的

本当に糖尿病は早期に見つけたほうがよいのか?

しかしながら,それは本当なのでしょうか.
糖尿病を早期に発見することが,本当に良いことなのでしょうか.
このあたりは下記のサイトに非常に詳しくかつわかりやすい情報があります.
有料コンテンツですが,ぜひご登録・ご一読を.
糖尿病スクリーニングの費用対効果

少しだけ引用すると,
・HbA1cによるスクリーニングは検査精度があまり良いとはとても言えず,かなりザルに近い検査である(つまりそもそも早期に発見できるかどうか怪しい)
・費用対効果の分析は結果の曖昧性を含んでおり,病気の移行確率などの諸条件が少し異なるだけで結果にばらつきが生じる(つまり絶対的に費用対効果があるとは決して言えない)
・そもそも糖尿病のスクリーニングを積極的に行っても、死亡、心血管疾患、糖尿病関連死亡の低下は示されていない(つまりやっても無駄?)

こういう視点から見れば先の病気の早期発見が絶対的に良いとはとても言えないように私は思います.

病気じゃなくて,薬の副作用を早期に発見しよう

ただ,もう実際のところ薬局での血糖検査を行うことが解禁され,全国各地でその実施体制が整ってしまいつつある現状.
一体ではどうすればいいのでしょうか.

思うに,
薬局での血糖検査は糖尿病を早期に発見するのではなく,
低血糖という有害事象を早期に見つけるという方向にシフトしてはどうかと思うんです.

これは私の恩師(の一人)から聞いた話なのですが,
来局されると必ずと言ってよいほどリ◯ビタンDを一気飲みしてから帰られる患者さんがいたそうです.
どうにも怪しい(と言っては患者さんに失礼なのですが)と思った先生はその方の同意を得て薬局で血糖検査を実施したところ,
ものの見事に低血糖を発症していたそうです.

低血糖と聞くと,「ブドウ糖を補給すればそれだけでいい」,なんて安易に考えている患者さんや医療者がいるようですが,
そんな生易しいものではなく,
以前より低血糖の発生と認知症の発症リスクとの関連が確認されております.
低血糖は認知症リスクを増やしますか?また認知症では低血糖リスクが増えますか?

医薬品とは安全に使用してこそその真価が発揮されるはずです.
良かれと思ってしようしているその薬剤が,むしろ自分の健康を害しているとわかった時の絶望感は計り知れないのではないでしょうか.

医療提供施設一翼を担い,かつ薬物療法の安全確保の最後の砦であろう薬局の役割としては,
病気の早期発見よりも,
むしろ薬剤関連有害事象の早期発見なのではないでしょうか.

副作用発見報告を充実させて,将来起こりうる有害事象を予測・回避しよう

これにはまだまだネタというか話に続きがあって,
有害事象が起こりやすい患者の社会的,家庭的背景などの調査もできるんじゃないかと妄想しているんです.

薬局は患者さんや住民の方々にとって身近な存在であるはずです.
むしろ病院よりも気軽に足を運びやすい,だからこそ気軽に相談しやすい場所なのではないでしょうか.
だからこそ,患者さん一人一人の生活や環境が聴き取りやすいと思うのです.

「これこれの生活習慣や家族歴・社会歴を有する人は薬のこういう有害事象がこれくらいの頻度で起こりやすい」

そんな研究だってできるはずです.
(もしくはもう研究・発表されているのやもしれません)

まとめ

最後にもう一度言います.
血糖検査を含めた薬局での検査は,
病気の早期発見などという,
本当に意味があるのかどうか未だによくわからないことよりも,
患者さんの安全確保のために活用したほうが良いのではないでしょうか.

今日はここまで.
それでは.