認知症の予防や治療にω-3脂肪酸は効果があるのでしょうか?

pharmasahiroです.

先日の地域医療ジャーナルミニマル先生の記事に触発されて,
他にも似たような論文はないものかと思ってPubMedサーフィンをしていたところ,
DHAも含めたω-3脂肪酸と認知症の予防や治療に関する報告を見つけることができました.

[論文その1:認知症の治療に対するω-3脂肪酸の効果は如何程?]
Burckhardt M, Herke M, Wustmann T, Watzke S, Langer G, Fink A.
Omega-3 fatty acids for the treatment of dementia.
Cochrane Database Syst Rev. 2016;4:CD009002.
PMID:27063583

P:アルツハイマー型(AD)、脳血管性(VaD)、レビー小体型(DLB)、パーキンソン病型(パーキンソン病),および前頭側頭型(FTD)認知症の患者に
E:ω-3脂肪酸サプリメントを投与すると
C:他の強化型栄養を摂取した場合と比較して
O:全体および特定の認知機能、機能的パフォーマンス、認知症重症度および有害作用の変化(それぞれのスコアの標準平均差:MDで効果を検証)
T:ランダム化比較試験のメタ分析(コクランレビュー)

結果はやはり(?)残念ながらω-3脂肪酸を投与しても有意な認知機能改善はなかったようです(MD:0.18,95%信頼区間:-1.05〜1.41)

[論文その2:認知症の予防にω-3脂肪酸は有用なのでしょうか?]
Sydenham E, Dangour AD, Lim WS.
Omega 3 fatty acid for the prevention of cognitive decline and dementia.
Cochrane Database Syst Rev. 2012;(6):CD005379.
PMID:22696350

P:認知症または認知障害がない60歳以上の高齢者4080人
E:ω-3脂肪酸サプリメントを最低6ヵ月投与
C:オリーブオイル,ヒマワリオイル,もしくはマーガリン含有ゲルカプセル(プラセボ)の投与
O:認知機能,認知症の発症

アブストラクトのみの結果ですが,こちらでもMMSEスコアでの有意な改善はみられなかったようです(MD:-0.07,95%CI:-0.25〜0.10)

[論文を読んでどうする?]
高齢患者さんの処方に向き合っていると,時折,
「これお医者さんが”脳の機能にいいから飲んでみたら?”と言われたから飲んでいる」
と患者さんやご家族から言われることがあります.

しかし…その効果は…
せっかくの医師の善意なり患者の期待なりを壊すのも心苦しいですが,
やはり効果の乏しいものを保険調剤で行う意義は限りなく乏しいように思います.

魚の油を食べると頭がよくなる〜♪
なんて歌をひと昔前にスーパーでよく聴いたものですが,
少なくとも高齢患者においてはその限りでは無いようです.

製剤によっては口臭が非常に魚臭くなるらしく(自分はいやだ…),
それを嫌って服用できていない(つまり毎回残薬調整をする)という事例も散見されているようです.
そういう時は,もう思い切って中止を検討しても良いのではないでしょうか.

今日はここまで.
それでは▽