書き留めることは身体と心にいいのでしょうか?

pharmasahiroです.

今日はメンタルヘルスについて.

「仕事はできる人が毎日欠かさず継続していること◯◯選!」
「メンタルを強くするために必要なこと」

なんて記事を時折見かけるのですが,その記事らには必ずと言っていいほど,

日記を書こう, とにかく日々感じた想いを書き留めよう

という文言を見かけます.

それぞれの執筆者の考えや意見(それに信念?)はよくわかるのですが,根拠となる文献の紹介,もしくは参考文献としての記載もないものが多く,ホンマかいな,もしくは効くとしたらどれくらい身体と心に良いものなのか,きになる所です.

この「書く」という行為による治療(?)は筆記療法(writing therapy)と呼ばれるものらしく, 自分の抱いた感情を自由に, 思うがままに書き出すという行為のことらしく, カウンセリングや心理療法(?,間違っていたらごめんなさい)に以前よりよく用いられているようです[1]

さて,そんな筆記療法, 2014年くらいまでの時点でわかっていることをまとめると,
(ちと情報が古いですがすみませんご勘弁を)

【効果があるという報告の例】
・長期の疾患を有する過敏性腸症候群患者における疾患の重症度および認知度の改善[2]
・安静時血圧値の低下[2]
・関節リウマチ患者の歩行速度と情動痛の改善[3]
・適応障害のある患者での不安と抑うつ症状の軽減[4]
・外傷後ストレス障害児のうつ症状、外傷関連認知症および一般的行動障害の軽減[5]
・結腸直腸癌、乳癌、または前立腺癌患者の身体的症状の改善と医療利用の減少[6]
・成人喘息患者の肺機能の改善[7], および3ヶ月のフォローアップ時のβアゴニストの使用の減少[8]

【効果がなかったという報告の例】
・慢性閉塞性気道疾患患者の呼吸困難, 運動能力、または生活の質の改善はない[9]
・緊張および片頭痛のタイプの頭痛の観察された効果はない[10]
・運動, 食事, アルコール摂取, または違法な薬物使用などの健康関連の行動に有益な効果はない[11]

などなど.

なるほど, 感情などを書き留める(≒日記を書く?)ことにはある領域ではそれなりに効果があるように思うのですが,
(論文を全部読んでいる訳ではないので定量的な所は省略します. 悪しからず)
本当にどんな人にもメンタルヘルスという点において優れた療法なのかというと,いかんせん難しいようですね.

とはいえ, 全くの無駄ではないようですし, もし心理的・精神的に困っている患者さん, ご家族さまなどがいらしたら, 勧めて見ても良いのやもしれません.

ただし, 感情表現が下手な人では筆記療法によってうつや不安症状がむしろ悪化した(?!)場合もあるらしく [12]
安易にこちら側が勉強しないままで人さまに進めることは無責任であるとも言えるでしょう.

いやはや.
この短時間での勉強では当然全部をわかることは難しいですね.
筆記療法, この新しい検索ワードを使って, さらに勉強しておきます.

今日はここまで.
それでは▽

[参考文献]
1) Mugerwa S, Holden JD. Writing therapy: a new tool for general practice?. Br J Gen Pract. 2012;62(605):661-3.[PubMed]
2) Halpert A, Rybin D, Doros G. Expressive writing is a promising therapeutic modality for the management of IBS: a pilot study. Am J Gastroenterol. 2010;105(11):2440-8. [PubMed]
3) Lumley MA, Leisen JC, Partridge RT, et al. Does emotional disclosure about stress improve health in rheumatoid arthritis? Randomized, controlled trials of written and spoken disclosure. Pain. 2011;152(4):866-77. [PubMed]
4) Sloan DM, Marx BP, Epstein EM, Dobbs JL. Expressive writing buffers against maladaptive rumination. Emotion. 2008;8(2):302-6. [PubMed]
5) Van der oord S, Lucassen S, Van emmerik AA, Emmelkamp PM. Treatment of post-traumatic stress disorder in children using cognitive behavioural writing therapy. Clin Psychol Psychother. 2010;17(3):240-9. [PubMed]
6) Rosenberg HJ, Rosenberg SD, Ernstoff MS, et al. Expressive disclosure and health outcomes in a prostate cancer population. Int J Psychiatry Med. 2002;32(1):37-53. [PubMed]
7) Smyth JM, Stone AA, Hurewitz A, Kaell A. Effects of writing about stressful experiences on symptom reduction in patients with asthma or rheumatoid arthritis: a randomized trial. JAMA. 1999;281(14):1304-9. [PubMed]
8) Jones CJ, Theadom A, Smith H, et al. Writing about emotional experiences to improve lung function and quality of life in patients with asthma: a 3-month follow up of a randomised controlled trial. Thorax. 2008;63:A18–A21.
9) Sharifabad MA, Hurewitz A, Spiegler P, et al. Written disclosure therapy for patients with chronic lung disease undergoing pulmonary rehabilitation. J Cardiopulm Rehabil Prev. 2010;30(5):340–345. [PubMed]
10) D’souza PJ, Lumley MA, Kraft CA, Dooley JA. Relaxation training and written emotional disclosure for tension or migraine headaches: a randomized, controlled trial. Ann Behav Med. 2008;36(1):21-32. [PubMed]
11) Pennebaker JW, Kiecolt-glaser JK, Glaser R. Disclosure of traumas and immune function: health implications for psychotherapy. J Consult Clin Psychol. 1988;56(2):239-45. [PubMed]
12) Niles AN, Haltom KE, Mulvenna CM, Lieberman MD, Stanton AL. Randomized controlled trial of expressive writing for psychological and physical health: the moderating role of emotional expressivity. Anxiety Stress Coping. 2014;27(1):1-17. [PubMed]