論文メモ:しつこい咳にはハチミツ入りコーヒーがオススメ?

pharmasahiroです.

今日たまたまtwitterのタイムラインを眺めていたら,

「風邪などの後に長続きする咳にはハチミツ入りコーヒーが良い」

と言うツイートを見かけました(それも原著論文つき!).

もともとそれ自体は知っていたのですが,根拠となる原著までは確認していなかったので,今回の記事はそれにまつわる論文のまとめを綴っておきます.
(やはりtwitterは適切に使いこなせば素晴らしい情報検索ツールになりそうですね?!)

【お題論文】
Honey plus coffee versus systemic steroid in the treatment of persistent post-infectious cough: a randomised controlled trial.
Raeessi MA, Aslani J, Raeessi N, Gharaie H, Karimi zarchi AA, Raeessi F.
Prim Care Respir J. 2013;22(3):325-30.
PMID: 23966217
PDFはこちらより.

【論文要約】

P(どんな患者に?) 風邪もしくは上気道炎後に少なくとも3週間は咳が持続している患者(n=97人,平均年齢40.1歳,Table 1. 参照)
E(何をすると?) ハチミツ入りコーヒーを飲む (HCグループ; honey plus coffee group, n=29)
C1(何と比較して?) プレドニゾロン(経口ステロイド薬)の投与 (Sグループ; steroid group, n=30)
C2(何と比較して?) 去痰薬であるグアイネフェシンのみで様子をみる (Cグループ; control/placebo group, n=26)
O(どうなる?) 1週間後の咳の頻度(VASスケールのように数値で表現)

1週間後に医師が問診の際に,咳がどれくらいの頻度で出るかを,
0点(全く),1点(少ない),2点(それなりに咳する),3点(めちゃ出る)で判定しているようです.

どんな試験タイプ? → 二重盲検ランダム化比較試験(DB-RCT)

この治療方法をどうやって二重盲検化したんでしょうかね…(ハチミツ入りコーヒーと経口ステロイド投与などをどうやって見た目上違いが分からないようにして患者さんに渡したんでしょうかね…本文をよく見れば記載があるんでしょうか…)

…と思ったらありました.本文にしっかり記載がありましたよ.

Three regimens of medical jam-like pastes were prepared, as
follows:
(1) Each 600g of the first regimen consisted of 500g of honey and
70g of original instant coffee, given to every member of the first
group (honey plus coffee group, n=29)
(2) Each 600g of the second regimen consisted of 320mg
prednisolone given to every member of the second group (steroid
group, n=30).
(3) Each 600g of the third regimen consisted of only guaifenesin as a
supportive treatment given to every member of the third group
(control/placebo group, n=26).
All three products were similar in packaging, colour, shape, and taste
(by adding enough edible brown colour, coffee essence, artificial
honey flavour, and liquid glucose) ←ここすごく重要

medical jam-like pastesって,医療用のジャムみたいなものにそれぞれの成分を混ぜて患者に渡したってことでしょうか…想像するとちょっと笑える…(?)

試験の流れはFigure 1. にしっかり記載がありますし(脱落してしまった:lost to follow up の人数もしっかり記載している),オーソドックスないい感じのDB-RCTに思えます.

【結果は何か?】

咳の頻度 HC群 S群 C群 p値
治療前 2.9 (0.3) 3.0 (0.0) 2.8 (0.4) 0.082
治療後 0.2 (0.5) 2.4 (0.6) 2.7 (0.5) < 0.001

Table 2. より抜粋(数値の右横のかっこは標準偏差)

統計解析法:
One-way ANOVA, χ2 test, Wilcoxon signed ranks test,
and paired t tests were used to compare the groups.
→ 群間比較をきちんとしている(たぶん)

【批判的吟味】
咳の頻度をVASスケールのように測定するのは現実的な方法なのか?
→ 咳をするたびに患者にカウントしてもらうのも現実的ではなく,これは妥当だろう.

【論文を読んだあとはどうする?】
これは面白い論文ですね.
かつ,為になるものだと思います.
3週間以上続くやっかいな咳に対して,下手に薬に頼るよりも(しかも全身性ステロイド),ハチミツ入りコーヒーを1週間継続すれば咳症状が重度から軽症以下に減るものだそうです.

生産年齢人口で,なかなか仕事が休めず,薬局にも行けそうにない方々はぜひ一度試してみてもいいのではないかと思います.

今日はここまで.
それでは▽