リコピン摂取で脳卒中が減る?〜その他諸々まとめ〜

pharmasahiroです.
前回の記事ではトマトジュース(正確にはリコピン摂取)と血圧の関係について綴りました.

他にも何か報告が無いか調べて起きましたので,ここで簡単にではありますがまとめておきます.

【リコピン摂取で血圧だけではなく血中コレステロール値も下がる】
Protective effect of lycopene on serum cholesterol and blood pressure: Meta-analyses of intervention trials.
Ried K, Fakler P.
Maturitas. 2011;68(4):299-310.
PMID: 21163596
こちらは有料の論文でアブストラクトしか見てないのですが,一日あたり25mg のリコピン摂取によって,
・総コレステロール値は 7.55±6.15mg/dl ほど低下
・LDL-C値は 10.35±5.64mg/dl ほど低下
・収取期血圧も 5.60±5.26mmHg ほど低下

するようです.

【リコピン摂取と脳卒中発症に負の相関あり】
Dietary and circulating lycopene and stroke risk: a meta-analysis of prospective studies.
Li X, Xu J.
Sci Rep. 2014;4:5031.
PMID: 24848940
PDFはこちら
観察研究のメタ分析で,これによるとリコピン摂取と脳卒中発症に負の相関があるようです(RR = 0.807, 95% CI = 0.680–0.957).
(調節した交絡因子:age, gender, SBP, total cholesterol, ratio of total cholesterol/HDL, BMI, smoking (number of packs/day), hypertension treatment, diabetes, intake of saturated fat, energy, and other carotenoids)
ただ,あくまで観察研究のメタ分析ですので,仮説検証というより仮説生成的な側面として覚えておくと良いでしょう(つまり,リコピン摂取で本当に脳卒中が減るかは,ランダム化比較試験で検証してみるより他ないということです).

【リコピン摂取で脳卒中だけでなく心臓疾患の発症も減るかもしれない】
Relationship of lycopene intake and consumption of tomato products to incident CVD.
Jacques PF, Lyass A, Massaro JM, Vasan RS, D’agostino RB.
Br J Nutr. 2013;110(3):545-51.
PMID: 23317928
PDFはこちら
こちらは天下のフラミンガム研究の一端のようで,やはり観察研究の報告なのですが,色々な統計モデルを駆使した結果,リコピン摂取と心血管疾患や冠動脈疾患ならびに脳卒中の発症とに負の相関があるかもしれないと結論付けています.
(解析方法が複雑なのか一読してもさっぱりぱっぱりで理解できませんでした…どなたかご教授を…)

【トマトを食べると前立腺がんが減る】
Tomato consumption and prostate cancer risk: a systematic review and meta-analysis.
Xu X, Li J, Wang X, et al.
Sci Rep. 2016;6:37091.
PMID: 27841367
PDFはこちら
こちらも観察研究のメタ分析で,今度はリコピンサプリメントではなくトマトの消費と前立腺がんの発症リスクを検証したものです.
24報のコホート研究やケースコントロール研究を統合した結果,異質性はありますが前立腺がんの発症が減ったという結果です(RR 0.86, 95% CI 0.75–0.98, I2 = 72.7%).
ただ,こちらもどちらかというと仮説生成的な結果だと思っております.

 

調べればもっと出てきそうに思いますが,このあたりで限界…ふぅ…

色々面白い報告があるんですね.

良さげな結果もありますが,絶対的な効果の程度が少ないことや,仮説生成的な要素が多分にある側面を含めると,

・現在好きでトマト(ジュースやリコピンサプリメント含む)を食している人はそのまま継続してOK

・ただし,トマト嫌いな人にまで無理に「健康にいいから!」と勧めるほどの確固たる結果が出ている訳ではない

といったところでしょうか.

単一の栄養素だけで全ての病気なり検査値の改善を期待しすぎることなく,バランスよく,そして何より愉しんで栄養を摂りたいものです(ここ重要,食事は餌を喰うとは明確に異なると思っております).

今日はここまで.本当にここまで.
それでは▽