ハチミツで心臓病予防?

pharmasahiroです.
ゴールデンウィークも後半へ.みなさまいかがお過ごしでしょうか.

さて,今回はハチミツについてです.
昔から(?)健康に良いと噂されているハチミツ,
先日,Facebookのタイムラインにこんな記事が掲載されておりました.
【水にハチミツを入れて飲むだけでヤバすぎる変化が体に現れる! 今すぐやってみて!】

…ホントかよ…orz
特に最後の方の,「8. 心臓病のリスクを軽減」と言い切っているとこが非常に気になります.

ここで改めて,ハチミツが果たして我々人間の身体に対してどんな影響がどれくらいあるのか,一度確認してみましょう.

いつも通り,Googleにて「honey cardiovascular disease pmc」で検索.

【見つけた論文】
Honey as a Complementary Medicine.
Miguel MG, Antunes MD, Faleiro ML.
Integr Med Insights. 2017;12:1178633717702869.
PMID: 28469409
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5406168/pdf/10.1177_1178633717702869.pdf

タイトル通り,医療における補助としてのハチミツの役割について論じたレビューのようですね.

かいつまんで読み解いてみると,

(中略)natural honey ameliorates cardiovascular risk factors, both in healthy subjects and in patients with high risk factors. In both cases, natural honey reduced total cholesterol, low-density lipoprotein cholesterol (LDL-C), triacylglycerols, fasting blood glucose, and CRP and increased high-density lipoprotein cholesterol (HDL-C), with the advantage of not increasing body weight, particularly in overweight or obese individuals(以下略)

健康な被験者および高リスク因子の患者の両方において、天然ハチミツは総コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、トリアシルグリセロール、空腹時血糖、CRPおよび高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C) などの心臓血管の危険因子の数値を改善させる.しかも,どちらの場合も、天然ハチミツ摂取による体重増加を伴わずに.

ほほう,どうやら,ハチミツの摂取によって,少なくとも検査値の改善は期待できるようです.

健康診断で数値を指摘された人にはおすすめできるかもしれませんね.

では,どれくらい数値を改善するものなのでしょうかね.
上記記載で引用されている論文もみてみましょうか.

Natural honey and cardiovascular risk factors; effects on blood glucose, cholesterol, triacylglycerole, CRP, and body weight compared with sucrose.
Yaghoobi N, Al-waili N, Ghayour-mobarhan M, et al.
ScientificWorldJournal. 2008;8:463-9.
PMID: 18454257
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5848643/pdf/TSWJ-2008-8-961837.pdf
論文を要約すると,
P: 55名の肥満患者に
E: ハチミツを投与(55名)
C: ショ糖を投与(17名)
O: 体重,体脂肪率,体脂肪量,中性脂肪,総コレステロール,LDL-C, HDL-C, , 空腹時血糖,CRPなどが改善した.

とあります.
(具体的な数値の改善具合はTable 1.および2. を参照してください)

…ただですね,この研究,ランダム化比較試験なのですが,
どうも解析が前後比較のようなんですよね.

Paired t-test to compare between means before and after intervention in the same group and unpaired t-test to compare between control and honey group were used for statistical analysis; p < 0.05 was considered as statistically significant.

一応群間比較もしているようなんですが,結果であるTable 1. や2. では同一群での介入前と後の差が有意であるかどうか(つまり介入前後比較)の検定(対応あるt検定)しかしていないように見えます.

つまり,

「ハチミツ飲んだ → 数値が改善した → だから効いたんだ!」という,

よくある怪しいサプリメントと同じような結果でしかないということのようです.

…前言撤回

そもそも検査値の改善が本当に,他の要因ではなくハチミツそのものに起因するのかどうかすら怪しくなってきました.

いやぁ,これだから論文は吟味できることが大事ですね.痛感しました.

安易に患者さんに「ハチミツがいいからオススメです!」なんて怖くて言えないです.

とは言え,とくだん数値が悪化することもないことですし,もし患者さんやお客さんがもともと好きでハチミツを摂取しているのであれば,やめてもらうことも無いようにも思っております.

ちなみに,ハチミツは急性の上気道炎や咳症状には治癒効果があるとの報告もあります.

ハチミツは小児の咳に効果がありますか?
http://blog.livedoor.jp/ebm_info/archives/40223282.html

かぜには薬よりハチミツやプラセボ?
http://www.bycomet.tokyo/entry/cold_1

栄養一つとっても,奥が深くて勉強になります.

今日はここまで.
それでは▽