スタチンを服用している患者さんがインフルエンザに罹ると,副作用が起きやすくなるのでしょうか?

【私的背景】
スタチンの重篤な副作用に横紋筋融解症があります.臨床症状としては筋肉痛や褐色尿,倦怠感など,いわゆる身体のだるさや痛みというわけですが,
つい先日,スタチンを内服している患者さんから,「たしかこの薬って筋肉痛の副作用がありましたよね?インフルエンザでも節々の痛みがでるみたいですけれど,もしかしたら自分がインフルエンザに罹ったらこういう副作用が起きやすくなるんでしょうかね??」というご質問をうけました.

【臨床疑問の定式化】
P:スタチンを内服している患者が
O:インフルエンザを発症すると
C:発症しない場合と比較して
O:横紋筋融解症といった骨格筋系の副作用はおきやすくなるのか?

【情報の検索】
UpToDate 〜横紋筋融解症の原因〜より

横紋筋融解症は、ウイルス,および細菌との感染に関連付けられおり,(中略)例えば急性ウイルス感染では、インフルエンザAおよびB、(中略)が含まれる.

【批判的吟味】
上記のようにウイルス(および細菌)感染症と横紋筋融解症とには関連があるとのことですが,もと論文を見てみると,どれも症例報告レベルのもので,
具体的にどういった背景をもつ患者さんが,どの程度のリスクをもって横紋筋融解症を発症するのかというところまでは,少なくとも現時点でははっきりとはわからないようです.

まぁ,横紋筋融解症が発症するのかどうかという試験を組み立てることは倫理的には難しいとは思いますし,このあたりはなかなか悩ましいとは思います.

【では明日からどうする?】
ウイルス感染単独でも横紋筋融解症を発症し得るということが分かりました.
スタチンを内服すること自体もやはり横紋筋融解症の発症リスクとなることから,
両者が並存することで横紋筋融解症の発症リスクは軽微でも上昇することが予測されます.

ただし,定量的なリスク評価は難しく,現時点では「感染後,完治するまでの間は今まで以上に筋痛,とくに褐色尿や倦怠感がないか十分注意しておくこと」という
定型文的なアドバイスしかできないのかなと愚考しております.

…そういえば,横紋筋融解症の発症予測ツールってあるのでしょうかね.
このあたりも,改めてまとめてみたいものです.

今日はここまで.
それでは▽

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